別に僕は何でもな医師。

中堅内科医の独り言、健康コンサルタント

痛風先生~本当は怖い痛風のはなし~

芸人のかまいたちさんのyoutube痛風先生なるものをみかけた。

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痛風のエピソードは面白おかしく語られることが多い。

しかし、痛風というのは本当は怖いものであると認識しなければならない。

 

 

 

尿酸は悪者か?

尿酸はプリン体が分解されて生じる。プリン体というと体に悪いもののように思われるかもしれないが、食事から外因性に摂取されるプリン体以外に、損傷した細胞や死んでしまった細胞が代謝されることで内因性に産生されるものもある。

外因性に産生される尿酸は100-200 mg/日、内因性のものは500-600 mg/日程度といわれ、毎日約700 mgの尿酸が産生されている。それらが腎臓、腸管で排泄されることでバランスを保っている。

尿酸7 mg/dLを超えると高尿酸血症と定義される。

尿酸値は J カーブを描くことが知られており、尿酸が低すぎても臓器障害を起こすことがある。

高尿酸血症に比べると圧倒的に少ないが、腎性低尿酸血症に伴う運動後急性腎不全などがある他に、医原性に低尿酸契機に急性腎障害をきたすことも稀ながら経験する。

 

尿酸は抗酸化作用を有しており、霊長類で最も長寿であるヒトは、他の霊長類に比べて尿酸値が高いことが知られている。

一概に悪とは言えないのが尿酸である。

 

高尿酸血症と他の疾患との関連

高尿酸血症は、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病、心血管疾患との関連が示唆されている。

高尿酸血症があることで、血管内皮障害を生じ、結果としてこれらの疾患リスクが上昇する。

高尿酸血症がある人みんなが痛風を発症するわけではないが、痛風を発症した患者さんの動脈に尿酸結晶が沈着していたという報告もあり、痛風発症歴のある方はより厳格に尿酸値を管理しなければならない。

もちろん痛風を起こしたり、尿酸値が高いことですぐに命にかかわるということはないが、糖尿病や高血圧と同じく、放置してしまうことで知らぬ間に体が蝕まれているということもある。

何度も痛風発作を繰り返しているような方は笑い話にはできない。

腎不全、心筋梗塞狭心症といった虚血性心疾患などのリスクを抱えていることになる。

 

糖尿病で重要なインスリンというホルモンには尿酸を再吸収する作用がある。

肥満があるとインスリン抵抗性といわれる状態を生じ、インスリンが過剰に分泌されてしまうことで尿酸値上昇に影響してしまう。

そのためインスリン抵抗性を解消するためにも減量は重要である。

また、糖質の多い食事もインスリン過剰につながりうるため、適切な糖質を摂取するように努めることも大切だ。結果、ダイエットにもつながる。

 

どんな人が尿酸値を下げるべき?

尿酸が7を越えたら一律に薬を飲まなければならないか、といわれるとそんなことはない。

上にも書いたように痛風発作歴がある人や痛風結節が体表にみられるような方は、食事療法の介入でも改善しない場合に内服治療を開始する。

 

そうでない方も、尿酸値が8を超え、虚血性心疾患、腎機能障害、糖尿病、尿路結石、メタボリックシンドロームを持つ場合は同様に食事療法⇒薬物療法という流れになる。

ガイドラインではそういった併存疾患がない方も9を超える場合には、まずは食事療法での介入が推奨されている。

 

高尿酸血症患者の食事療法について

プリン体そのものを控える、よく言われる魚卵、レバー、干物などを減らしつつ、節酒する。

 

加えて、上記にも書いたように糖質を多く摂りすぎないこと。

中でもフルクトース(果糖)は尿酸値を上昇させることが知られており、清涼飲料水やフルーツジュースは避ける。

それ以外にも菓子パンやお菓子、シリアルなどの甘味料としても使用されていることもあり、これらも避けるべきである。

 

果物そのもののはメリットも多く、食物繊維の含有も多いので清涼飲料水に比べると尿酸値を上げることはないと思われる。しかし近年の品種改良により、非常に糖度の高いフルーツも増えており、食べすぎは厳禁である。

 

DASH食、地中海食といわれる食事療法が高尿酸血症には良いとされ、いくつか報告もある。

生活習慣を急に変えることは難しいと思われるので、取り入れやすいところが挑戦することが大切だ。

 

以前体調管理術の記事でも少し書いたが、

・お菓子の間食⇒ナッツ類に変更

・ジュース、アルコール⇒無糖のレモン果汁やリンゴ酢を炭酸水で割る

・デザートにアイスを食べる⇒果物に変える

 

こういった置き換えをすることで取り入れやすくなる。

無意識のうちに惰性で食べたり、飲んだりしていることもあるので、自分が何をどれだけいつも食べているかを把握することも忘れずに。

 

風吹いても痛い痛風...

実は怖い病気です。