ここ最近オンライン診療を行っている。恐らく一番大手のオンライン診療バイトだ。

都市部でのニーズはかなりありそうだ。
今はインフルエンザやコロナの流行に合わせて、家庭を持つ方たちが多く利用している印象がある。
「先日妻、子どもがインフルになって、今朝から自分も似たような症状が出てきました。」
というように、みなしで陽性と判断できるようなパターン。
インフルエンザに対してタミフルなどの抗ウイルス薬が必須かという話はさておき…
利用している層は比較的若年で20〜50代、そのお子さんが多い印象だ。
日中仕事のために受診できないという層も多い。
対面診療で得られるもの
以前別の記事でお話ししたことがあるが、優れた医師のファーストインプレッションというのは重症度を評価しうる。
色々な検査をせずとも、パッと見で重症度を推測できるのだ。
その上で直接体を診察し、検査前確率をある程度高めた上で種々の検査を行う。
オンラインで可能な診察は、視聴打触のうち視診のみ。それも対面に比べるとクオリティは落ちる。
診察でのメリット以外に、単純にオンラインでの会話よりも対面で話したほうがコミュニケーションもとりやすいだろう。
オンラインvs対面
私は診断、治療方針の決定の上で大切だと思うのは、「病歴」である。
つまり患者さんの症状の経過を聞くことが一番重要だと考えている。
以前研修したとある有名病院でも病歴が8割だ!と教わった。
直接診察せずともある程度の疾患は話を聞いただけで鑑別にあがり、概ねの治療方針は決めることができる。
極端な例かもしれないが、上に書いたようなインフルエンザなどは典型的だ。
濃厚な接触歴があり、発熱、上気道症状、節々の痛みといった同様の症状が出てきた、となれば検査する必要もなくインフルエンザと診断できる。
重症度の判断はさらにお話を聞いていく上で行う。
会話は流暢にできるか、症状の程度はどうか、食事含めた日常生活は可能か、など。
高齢者は併存疾患が多く、何かをきっかけにそれら併存疾患が悪さをすることが多々ある。
感染症を契機に心不全、腎不全が増悪することは私もよく経験する。
高齢者であっても既往歴、病歴をしっかり伺うことで予測は立てられるが、進行が急激なこともあり、ややオンライン診療には不向きかもしれない。
オンラインでの面談というのも高齢者は慣れてない方が多く、そもそものとっつきにくさもあるだろう。
オンライン診療によりトリアージし、必要あらば救急に受診していただくというのもよい方法だと思う。
夜間救急や中〜大病院の病床逼迫問題もあり、不要な受診を減らすという意味で非常に有用である。
オンライン診療の問題
問題の一つ目は、適切な医師に巡り合えないことがあるという点だ。
これは対面診療でも同じだが、オンライン診療はその確率が高まってしまう。
私も小児科医ではないが、オンライン診療で小児科の対応もするように、専門外の疾患をみるケースが多くなってしまう。
もちろん、夜間の救急外来などもオンライン診療と同様に専門外の領域を対応しているケースがほとんどだ。
そのため、夜間のオンライン診療や救急外来はその場しのぎ的な対応にならざるをえないこともあるのが現状だ。その場で100点満点の診療、診断を受けるのは難しいと思っておいたほうがいい。
大学病院や大きな市中病院であれば、各専門医が常駐 or オンコールで対応しているが、いきなりそこに受診するのは少々ハードルが上がる。
そもそも病院自体が断ることも多い。(ファーストタッチは1,2次救急を受診してから、専門性を要する場合に紹介する)
できれば日中に、ある程度の専門性を持ったクリニックに受診することが一番である。
二つ目は、患者さんが薬を求めてきたら断りづらい、という点だ。
これも悩ましい問題だが、「以前も同じ症状で、●●を内服したら治ったので、その薬をください」という訴えで来る方も時折いる。
その訴えが間違いではないこともあるが、適切ではない処方と思われた場合にも無下には断りづらい。
これはおそらく開業されているドクターも同じような悩みがあるのだろうなと感じる。
例えば、上気道炎で受診した患者さんに抗生剤を処方する医者がいる。
上気道炎の場合はウイルス性が多く、だいたいは対症療法で軽快するため本来は抗生剤は不要なことが多い。
不要な薬ですよ、とお伝えしても後々悪評を立てられる可能性もある。
たまにクリニックの口コミでも同じようなケースが散見される。
「このクリニックでは薬も出してくれませんでしたが、別のところで薬をもらってすぐに治りました。」
こういった場合に本当に薬でよくなったのか、ただ自然経過でよくなったのか、判断が難しいことも多く、実際開業医の先生方は「書かれ損」だなぁと思う。
ポリシーをもって、不要な薬は絶対出さない!という先生もいると思うが、オンライン診療の場合、薬を求めてきている患者に対して何も処方しないというのは心理的に抵抗がある。対面診療よりもコミュニケーションがとりづらい分、なおさらかもしれない。
しかし、私が実際やってみた感想としては、デメリットよりもやはりメリットが上回るような気がしている。
怪しげな美容系も増えているので今後規制が強まる可能性はあるが、医師偏在にもつながりうる手段のひとつだと思う。