最近流行りの「直美」
なおみ、ではなく、「ちょくび」と読む。
上の記事にもあるように、研修を終えてすぐに美容系に進む若手ドクターのことを指す。
私は医師10年目であるが、周囲に直美はいなかった。
先輩医師には6年目ぐらいに麻酔科から美容系に転向したものもいたが、いきなり美容系に進むものは珍しかった。
形成外科や皮膚科の医師でしっかりとした土台があれば問題ないのだろうが、初期研修が終わってすぐに美容系に進むのは医師にとっても、患者さん(顧客?)にとってもリスクだろう。
なぜ直美になるのか、といわれると基本的にはお金の問題だ。
こちらのサイトに書かれてあるように美容系の給与は一般的な医師よりもかなり高額だ。
求人サイトでも、未経験でも年収1500万~という募集はよく見かけるし、経験者であれば2000万台も当たり前という世界。
保険診療ではなく、自由診療からの収入というのは相当でかいのだろう。
以前大学病院に勤めていた頃、救急科の准教授で40代前半のドクターが年収1500万だと話していた。(もちろん常勤以外からの収入や執筆代などもろもろが加算されると思うが)
私も初期研修を終えたばかりで、外勤バイトを含めて700-800万だった記憶がある。
それには週1-2回の大学病院での当直も含まれるし、加えて週1回程度の外勤バイトでの当直も含まれる。勤務時間も9-17時で解散というものではなく、時給換算するとかなり安かったと思う。
なので1500万というと3年目医師の給与としては破格であり、当直業務なども基本的にはないことが多いのでQOLもかなり良い。
FIREを早々に目指すために一気に貯める力を上げるという目的で「直美」を選択する若手もいるかもしれない。
将来性という意味では美容系の勢いは続くと思われるが、いつまでもこの給与が保証されるかはわからない。
時折、美容施術後の合併症で市中病院に搬送されるようなケースもある。
その際に、「なんで美容系の尻ぬぐいをしなきゃならないんだ...」と思ってしまう医師もいるだろう。
ましてやしっかりとした修練も積まずに行われた施術の合併症であればなおさらだ。
そういった美容系の医師が、自分よりもQOLの高い働き方で給与も大幅に高いとなると不満も出てくるはずだ。
同様に若手でいきなり高額な給与、という面では「訪問診療」もあてはまる。
高齢者の増加に伴い需要は確かに増えている。
昔ながらの訪問診療と言えば、クリニックの院長が診療の合間に患者さんの自宅に伺い、夜中に容体が悪化した場合には院長が駆けつける、というものである。
近年は非常勤医師を多数抱え、夜間の対応についても外注していることが多い。
私の同期でも一名、いきなり訪問診療専門のクリニックを開業したものがいた。
「直美」ならぬ「直訪」だ。
訪問診療は幅広く内科だけでなく、皮膚科もみなければならないし、胃ろうや気切の管理も必要な方もいる。ターミナルの患者であれば緩和のために腹水や胸水の穿刺、医療用麻薬の使用も必要になる。
これらを医師3年目でクオリティを担保しながらできるか、といわれる怪しいだろう。
開業した彼自身が医療行為を行っていたのか、管理医師として存在するだけで、あとは別の医師を雇っていたのかは定かではないが...
医師求人サイトを見ていると高額求人は美容系(AGA、ED治療含む)、訪問診療が多い。
お金に目がくらみ、早々にそちらの道に行くことは私としてはあまりおすすめはできない...